ビッグバンドの司会
ビッグバンドの司会 -ステラジャム総合プロデューサー 黒坂洋介-
■型にはまった司会進行
ステラジャムを見ていて、大学生ビッグバンドの司会(MC) について気になったことがあります。どのバンドも、 ほぼ画一的な司会スタイルだということです。 たとえばソロイストを
オン・トランペット坂本龍馬
オン・ピアノフォルテ徳川慶喜
のように紹介する。しかもみんな「オン」 にアクセントを置いて発音する独特のフシ回しです。 大阪出身の舞台監督・野々村さんに尋ねてみると、 関西でも大学生はほぼ同じような状況だとか。
ステラジャムはジュニアの大会なので、 彼らはおそらくほかのイベントやコンテストで、 先輩たちの司会を見て覚えたのだと思われます。
このスタイル自体は学生ビッグバンドの世界で自然発生的に生まれ た流行でしょうから、それはそれで尊重します。 しかしほかの可能性も考えてみてはどうでしょうか。 今日はそんな提案です。
■多様な表現を研究しよう
せっかくジャズという自由な芸術に取り組んでいるのですから、 司会者も、いつもみんなが同じようにやるのではなく、 もっとくふうを重ねて表現やスタイルにバリエーションがほしいで すね。
ピアノを「ピアノフォルテ」 と正式名称で呼ぶことを最初に思い付いた人はセンスがいいと思い ます。 それをシャレていると感じる人が多かったからこそたくさんの人に マネされたのでしょう。 しかし連発すると鼻につく場合があるので注意が必要です。
また英語として考えるなら、on trumpet の「on」にアクセントを置くのはおかしいですね。 前置詞はむしろ小さく短く発音して「trumpet」 のほうを強調するべきでしょう。
定冠詞をつけて「on the trumpet」としたり、 ドラムの場合はその席に座っているニュアンスを強調して「at the drums」という表現もできます。
さらに日本語では「楽器名→人名」の順序ですけれども、 英語風に「坂本龍馬 on the trumpet」のような語順で言うこともできます。 わざわざ楽器名を言わずに、 ソロイストの名前だけを紹介するのも一 案です。
こういう引き出しをたくさん用意して、いろんな表 現を混ぜながら自分のスタイルを少しずつ確立する わけですね。
先人のライブ盤をいくつか聞き比べて、カウント・ ベイシーはどんな司会をしているか、トシコ・アキ ヨシは、メイナード・ファーガソンは、ゴードン・ グッドウィンは...、などと研究してみるのもいいでしょう。
■エンタテイメントは個性の戦い
ショウビジネスとして見るなら、「正解」に近づくことよりも、 自分なりの解釈やスタイルを模索することに価値があると考えられ ます。
誰かのマネに終始するのではなく、 誰のマネでもない世界を創造する。 それが舞台で何かを演じるときに心がけたい重要なポイントのひと つです。
2010年のゲストバンド野口茜ステラジャム・オーケ
ストラが、 全曲オリジナル曲を演奏したのはその具体的実践であり、 ひとつのチャレンジでした。
もちろんジュニアバンドのように基礎を学ぶべき段階では、 先輩やプロの演奏をお手本としてひたすらマネるのも重要なステッ プです。けれども「横一列右へならえ」ではつまらない。 たとえ初心者であっても、 やはりつねに新しい表現を探す努力を重ねたいものです。 司会者も同じです。
■失敗から学ぼう
ステラジャムに出演した某大学は、 メンバーの一人が演奏の前にバック宙を披露しました。 場を盛り上げるためのフォーマンスですが、 当然ながら賛否両論があると思われます。
私の考えはこうです。
バック宙という演出自体が良いか悪いかは、 審査員や聴衆が判断すればよい。しかしこの種のリスキーな、 つまり「スベるかもしれないネタ」 に対して果敢にチャレンジする姿勢を、 私は高く評価したいと思います。
「正解」を求めて小さくまとまるよりも、 ヒンシュクを買うかもしれないリスクを取る姿勢が貴いのです。 人間は、特に若者は、失敗しながら成長するものなのですから。
これまでの常識では考えられないから「やらない」のではなく、 今まで誰もやらなかったからこそ「やる」という勇気を持つ。 そういう独断的創造のことを「独創」と呼ぶのでしょう。
ステラジャムが、主催者、審査員、アーティスト、 出演バンドのすべてにとって、 これからも活気に満ちたクリエイティブな場であることを、 このイベントの総合プロデューサーとして願っています。
ステラジャムを見ていて、大学生ビッグバンドの司会(MC)
オン・トランペット坂本龍馬
オン・ピアノフォルテ徳川慶喜
のように紹介する。しかもみんな「オン」
ステラジャムはジュニアの大会なので、
このスタイル自体は学生ビッグバンドの世界で自然発生的に生まれ
■多様な表現を研究しよう
せっかくジャズという自由な芸術に取り組んでいるのですから、
ピアノを「ピアノフォルテ」
また英語として考えるなら、on trumpet の「on」にアクセントを置くのはおかしいですね。
定冠詞をつけて「on the trumpet」としたり、
さらに日本語では「楽器名→人名」の順序ですけれども、
こういう引き出しをたくさん用意して、いろんな表 現を混ぜながら自分のスタイルを少しずつ確立する わけですね。
先人のライブ盤をいくつか聞き比べて、カウント・ ベイシーはどんな司会をしているか、トシコ・アキ ヨシは、メイナード・ファーガソンは、ゴードン・
■エンタテイメントは個性の戦い
ショウビジネスとして見るなら、「正解」に近づくことよりも、
誰かのマネに終始するのではなく、
2010年のゲストバンド野口茜ステラジャム・オーケ
ストラが、
もちろんジュニアバンドのように基礎を学ぶべき段階では、
■失敗から学ぼう
ステラジャムに出演した某大学は、
私の考えはこうです。
バック宙という演出自体が良いか悪いかは、
「正解」を求めて小さくまとまるよりも、
これまでの常識では考えられないから「やらない」のではなく、
ステラジャムが、主催者、審査員、アーティスト、















